障害年金事例
事例8 障害年金の障害は医師に在り?(第2話)
 障害年金が受給できるかどうかは、医師の作成する診断書の内容によって決まります。
 病状が数値で表される障害の場合、問題は少ないのですが、一般的に件数が多い診断書の「肢体の障害用」と「精神の障害用」が使われる障害の場合には数値で表せないので、生活上困っている内容やご家族の支援の程度を医師に的確に伝えないと、診断書の内容にご本人の状況が正しく反映されず、軽いと判断されて年金が貰えないことが多く在ります。
 このようなことが無いようにするには手続の経験が必要ですが、障害をお持ちの方は経験を積むことが出来ませんので、経験の在る専門家「社会保険労務士」に依頼されることが得策です。
 以下これに纏わるお話をします。

・痙性対麻痺(神経内科が診断した病名。下肢が不自由なことから整形外科に行くと坐骨神経痛や膝関節症等の病名が付く。)の障害の事例

 Mさんは、平成2年頃から特に右脚の方に強く感じたのですが麻痺した感覚と鈍痛を感じ(下肢が棒になったような感じ。)、歩行がしにくくなったことから診断を受けるべく検討され、診療科目の少ない診療所ですと他の診療所へと盥回しされる可能性があっては大変と総合病院で、病状の関係から整形外科で診察されました。症状が改善せず、その後、他の病院の整形外科の診察を受けられましたが、整形外科では、坐骨神経痛、膝関節症、脊椎症等々の病名が付き病状も改善が見込まれず、更に悪化したように感じられたようでした。
 偶々実家で法事があり、足の不自由はあったものの敢えて参加されましたが、Mさんの状態を見た姉弟の方々が心配されて地元の病院に連れて行かれ診断を受けたところ、水頭症の疑いがあるとして別の病院(水頭症の疑いがあることから神経内科で受診。)を紹介され、入院検査の結果、水頭症は軽度で手術の必要は無いものの歩行困難の原因は痙性対麻痺と診断されました。
 何時までも実家近所の病院での診療を継続することはできないことから、その病院の紹介状を持って現在は地元の病院で加療されていますが、先の病院の教えで身体障害者手帳の取得手続ができることを知り手続きをされたところ、障害年金の請求ができる可能性もあることも教わり、当ネットワークに相談され私が担当することになりました。
 私は早速、現在治療のため通院されている病院に同行して診断書の作成をお願いしました。
 検査時に同席を許され立会いましたが、口出ししている内に室外退去を命ぜられました。
(以後はこの教訓を生かして、事前にご相談者の方の日常生活上の支障をきたしていること…具体的には朝起きてから寝るまでの間でご自身が支障を感じていることを事細かく具体的に書き出すこと、更に寝ている間を含めて家族の方の介助の必要な内容も含めること…を文章化して診断書の用紙と共に医師に渡すようにしました。)
 残念ながら、出来上がった診断書は不備なものでした。
 特に私が気になったのは、以下の2つの点です。

 (1) 病状が軽く書かれており、記載漏れもありました。診断書の病状の記載する欄は日常 生活についての状況を記載する必要があり、通院の場合、医師が確認でるのは診察時の状況のみであるから当然に診断書の確認事項に応じて医師が患者に質問し確認して記載すべきであるのに、医師は患者に質問せず勝手な判断で記載していました。

 (2) 診断書には、「各部の関節の動かせる角度」と「関節の運動筋力の程度」を実測して記載する必要があるのに、筋力の程度のみで、しかも、やや減の欄に各部一律に記号が記載されていました。

 これ等の実測値の重要さは、誰が見ても障害者の状態が推測できる重要なものです。例えば、体温がやや高いと記載するより、37.5度と、視力低いと記載するより、0.6と記載する方が良いことは誰でも理解できることです。
 
 このことを医師に申入れをして、再検査をして頂き診断書の書き直しをして貰ったところ、ご相談者の実情に合ったものになりました。
 この診断書で裁定請求をしたところ、予想以上の裁定で障害基礎年金の1級が受給できたのです。

 後日談ですが、第1回目の現況届の提出で永久認定となり、又、65歳になられた時点でご結婚前の厚生年金保険の加入期間があることから、裁定請求をしたことで厚生老齢年金も受給できるようになりました。

文責 社会保険労務士 S.S(奈良県)


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