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障害年金とは、厚生年金保険、国民年金、共済年金のすべてに備わっている、老齢年金、遺族年金と並ぶ公的年金の一つです。
この年金は、障害を負ったことで国民生活の安定が損なわれることのないように、働く上で、あるいは日常生活を送る上で困難がある人に支払われる年金のことです。
ということは、高齢者よりはむしろ若年層のための年金と言っていいと思います。
障害年金は、次の4つの条件(「受給要件」といいます。)がすべて満たされた人に支払われます。
それは、1.初診日要件、2.制度加入要件、3.保険料納付要件、4.障害要件の4つです。以下に、これについて解説します。
我が国の障害年金制度では、この初診日に非常に大きな意味が与えられています。
それは、初診日というものが、上の2.から4.までの受給要件のすべてに関わる(以下の説明参照)ことからも、その重要性がお分かりになると思います。
ところで、障害年金請求の要因となった障害は、何らかの怪我や病気が原因となって発生するものです。
従って、傷病には必ず初診日があります。その日がいつで、どの病院の初診日かを特定する必要があります。
そして初診日は、何らかの証明によって裏付けられる必要があります。※2
その初診日に、年金制度(国民年金、厚生年金保険など)のどれかに加入している必要がある、ということです。
これに当てはまらない場合でも、初診日に20歳未満★か、又は60歳以上65歳未満であるとき(ただし、住所が日本国内にあるときに限る。)は、年金制度に加入していない時期の初診日であっても、国民年金に加入していたのと同じ扱いになります。
初診日の前に、決められた月数以上の、保険料が納付されているか免除を受けている月数が必要です。
具体的には、次の条件のどちらかに当てはまっていること、とされます。
初診日から1年6月経過した日あるいはそれ以前の「治った」日(から概ね3ヵ月以内)の障害の程度が障害等級に該当していると、他の要件を満たしているなら、その日以降いつでも請求手続きができることになり、障害認定日の翌月分から障害年金が受給できます。
この請求では、たとえ請求の時期が大幅に遅れても、年金は最大5年分を遡及して受給できます。
障害認定日には障害の程度が軽くて障害等級に該当しなかったが、その後該当するようになったときは、そのときから障害年金の請求ができます。 事後重症請求の場合の年金受給は、請求手続きを行った翌月分からで、遡及して受給することはできません。
この請求は、すでに障害のある人がさらに障害を負ったことによって、それらの障害を併合して初めて2級に該当する場合に請求するものです。
この場合、受給権が発生するのは複数障害併合の結果2級に該当したときですが、実際に年金を受給できるのは、請求手続きを行った月の翌月分からになりますから、手続きは早いに越したことはありません。
初診日が20歳前で、どの年金制度にも加入していなかったときは、原則として、20歳に達したときに障害等級に該当していると、国民年金から障害基礎年金が支払われます。
以上のことは、※印の説明も含めてあくまでも原則です。これらに当てはまらない場合でも、障害年金が受給できる場合があります。
決してご自分の判断で終わらせず、まずお電話ください。
障害年金を請求する場合には、必ず医師の発行する診断書が必要です。一応の目安として、主な疾病名と診断書の関係を下表に取りまとめておきましたので、ご参考にしてください。
※様式名をクリックしていただくと、PDFファイルがダウンロードできます。
病名 | 様式 |
---|---|
悪性関節リウマチ | 様式第120号の3 |
悪性繊維性組織球腫 | 様式第120号の7 |
悪性リンパ腫 | 様式第120号の7 |
アダムス・ストークス症候群 | 様式第120号の6-(1) |
うつ病 | 様式第120号の4 |
HIV感染症 | 様式第120号の7 |
オリーブ・橋・小脳萎縮症 | 様式第120号の3 |
潰瘍性大腸炎 | 様式第120号の7 |
下顎歯肉腫瘍 | 様式第120号の2 |
化学物質過敏症 | 様式第120号の7 |
拡張型心筋症 | 様式第120号の6-(1) |
肝がん | 様式第120号の6-(2) |
肝硬変(アルコール性) | 様式第120号の6-(2) |
肝硬変(ウィルス性) | 様式第120号の6-(2) |
間質性肺炎 | 様式第120号の5 |
境界性人格障害 | 様式第120号の4 |
胸椎後縦靭帯骨化症 | 様式第120号の3 |
強迫性障害 | 様式第120号の4 |
強皮症 | 様式第120号の7 |
筋萎縮性側索硬化症 | 様式第120号の3 |
くも膜下出血後遺症 | 様式第120号の3 |
クローン病 | 様式第120号の7 |
痙性対麻痺 | 様式第120号の3 |
頚椎後縦靭帯骨化症 | 様式第120号の3 |
高次脳機能障害 | 様式第120号の4 |
視神経萎縮 | 様式第120号の1 |
陳旧性心筋梗塞 | 様式第120号の6-(1) |
進行性骨化性繊維異形成症 | 様式第120号の3 |
人工関節・人工骨頭挿入置換 | 様式第120号の3 |
人工膀胱・人工肛門造設 | 様式第120号の7 |
人工透析 | 様式第120号の6-(2) |
人工弁装着 | 様式第120号の6-(1) |
心不全 | 様式第120号の6-(1) |
腎不全 | 様式第120号の6-(2) |
心房中隔欠損症 | 様式第120号の6-(1) |
スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS) | 様式第120号の7 |
脊髄小脳変性症 | 様式第120号の3 |
脊柱管狭窄症 | 様式第120号の3 |
病名 | 様式 |
---|---|
摂食障害 | 様式第120号の4 |
線維筋痛症 | 様式第120号の3 |
全身性エリテマトーデス | 様式第120号の3 |
双極性障害(躁うつ病) | 様式第120号の4 |
WPW症候群 | 様式第120号の6-(1) |
中皮腫 | 様式第120号の5 |
直腸がん | 様式第120号の7 |
てんかん | 様式120号の4 |
転換性障害 | 様式第120号の4 |
知的障害(精神遅滞) | 様式第120号の4 |
電磁波過敏症 | 様式第120号の7 |
統合失調症 | 様式第120号の4 |
糖尿病 | 様式第120号の6-(2) |
糖尿病性網膜症 | 様式第120号の1 |
難聴 | 様式第120号の2 |
脳梗塞後遺症 | 様式第120号の3 |
脳性まひ | 様式120号の3 |
脳脊髄液減少症 | 様式第120号の7 |
脳内出血後遺症 | 様式第120号の3 |
パーキンソン病 | 様式第120号の3 |
バージャー病 | 様式第120号の3 |
肺気腫 | 様式第120号の5 |
肺結核 | 様式第120号の5 |
発達障害(ADHD・アスペルガー症候群・自閉症など) | 様式第120号の4 |
パニック障害 | 様式第120号の4 |
反射性交感神経萎縮 | 様式第120号の7 |
肥大型心筋症 | 様式第120号の6-(1) |
ぶどう膜炎 | 様式第120号の1 |
ペースメーカー・人工弁装着 | 様式第120号の6-(1) |
ベーチェット症候群 | 様式第120号の7 |
膀胱がん | 様式第120号の7 |
マルファン症候群 | 様式第120号の7 |
慢性関節リウマチ | 様式第120号の3 |
慢性閉塞性動脈硬化症 | 様式第120号の3 |
無水晶体症 | 様式第120号の1 |
メニエール病 | 様式第120号の2 |
網膜色素変性症 | 様式第120号の1 |
ループス腸炎 | 様式第120号の7 |
年金法では、“障害の原因となった傷病「について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」”とされています。
つまり、ここでいう初診日は「傷病の初診日」ですから、どの「病院の初診日」でもいいというわけにはいきません。
初診日がいつだったか、ご本人が覚えていなかったり、ここが初診の病院だと思っていた病院へ行ってみたら、その前に他の病院でも診てもらっていたことが分かった、などというのはよくあることです。
そうなると、その前の病院、あるいはその又前の病院と、初診日を調べていかなければならないことがあります。
別の言い方をしますと、これが障害年金の本当の初診日だ、といえるためには、「前の病院」があってはいけない、と言ってもいいかも知れません。
また初診日は、原則として年月日まで分かっていなければならない、ということもあります。
次に、その初診日を証明するものが必要です。
証明書類としては、医師・歯科医師が作成する受診状況等証明書がもっとも有効とされます。
ところで、診療録いわゆるカルテの保存期間は5年と定められています。
初めは症状が軽かったなどということから長い間受診しないでいるうちに、カルテの保存期限が切れて廃棄されていることがあります。大きな病院特に医大付属病院などでは5年以上保存している病院もありますので一概には言えませんが、初診日から長い年月が経っていればいるほど、その証明が難しくなることは確かです。
しかしカルテがなくても初診日を証明できる場合があります。それは、ご相談の中でさまざまなご事情を具体的にお聞きした上でご説明します。
老齢基礎年金では、例えば保険料全額免除を受けた期間はそれを2分の1として計算しますから、保険料を納付した場合と比べると、その期間の年金額も2分の1になります。(平成21年3月分までは3分の1として計算し、平成21年4月分からは2分の1になりました)
しかし、障害基礎年金ではそのようなことはなく、保険料免除期間は、納付要件については、全て保険料納付済期間と同様に取り扱われます。
従って保険料の支払が困難なときは、是非とも保険料免除申請をしてください。なお、免除には全額免除、4分の3免除、2分の1免除、4分の1免除の別がありますので、これも相談電話でお尋ねください。
障害等級1級と2級の認定基準は、国民年金法施行令別表というところに定められています。
この1級と2級は国民年金と厚生年金保険に共通ですから、厚生年金保険加入中に初診日があるときの障害年金(障害厚生年金といいます)でも、これが障害等級の認定基準になります。
しかし3級の年金と障害手当金は厚生年金保険の独自給付ですから、その認定基準は、厚生年金保険法施行令別表第一(3級)と、同じく第二(障害手当金)にそれぞれ定められています。
この他に「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」というのがありますが、これは、法令の裏付けのないものですから、障害等級の決定について、これに拘束されることはありません。
しかし年金事務所などではこれを重視しますので、場合によってはこれに対抗する論理を考える必要もあります。
皆さんがよく勘違いされることですが、身体障害者手帳の障害等級表を、そのまま障害年金の障害等級に当てはめることはできませんのでご注意ください。
生活保護法の生活扶助では、障害者加算を加算する場合の条件を、身体障害者手帳の障害等級が1級~3級または障害基礎年金の1級~2級に該当すること(障害基礎年金を受給していること)、としています。
このことから身体障害者手帳の1、2級は年金の障害等級1級に、同じく3級は年金の2級に相当する、という読み替えがある程度可能です。
しかし、このことはあくまでも生活保護制度の中の取り決めであって、年金の障害認定とは直接の関係がありませんので、注意が必要です。
特に、心疾患で人工弁やペースメーカーを装着している方の場合、身体障害者手帳では1級ですが、障害年金では3級に認定される、というように大きく違う場合がありますので、特にご注意ください。
因みに精神障害者保健福祉手帳の障害認定基準と、精神疾患による障害年金の障害認定基準は、同等と考えても差し支えないと思われます。
なお知的障害の場合は、全国共通の基準がなく、各都道府県ごとの基準もまちまち(手帳の名称は「療育手帳」が一般的のようですが、「愛の手帳」その他の名称もあり、これも統一されていません。)ですから、参考になりにくいところがあります。
障害手当金には、障害厚生年金と同じ受給要件の他に、初診日から5年以内に治ったときの障害の状態による、という要件が加わります。
ということは、外傷以外の病気の場合は、医師として「治った」こと、つまり治癒認定がしにくいということがあるので、内科的疾患や精神疾患などでは、障害手当金は受給がむずかしくなっています。
障害認定日の一つである「治った日」ということについてご説明します。
これは、あくまでも初診日から1年6月以内の日をいいます。その期間が経過した後で「治っ」ても、その日は障害認定日とはなりません。
この「治った」というのは障害年金に独特の概念で、「完治」を意味するものではありません(完治していたら障害等級には該当しないでしょうから)ので要注意です。
ではどのような意味かというと、一口にいえば「症状が固定した日」ですが、加療による効果が期待できない状態になったことも「治った」とされます
例えば腕などを切断したときは、その切断した日(同じく切断でも、障害手当金のときは創面が治癒した日とされる)が障害認定日になりますので、1年6月待たなくても障害年金の裁定請求ができます。
外傷のように「治った」ことが一目瞭然なものと比べて、医師としても治癒認定が難しい内科的疾病や精神疾患では、1年6月経過した日を「みなし治癒日」として障害年金の請求を可能にした、といえます。
この「治った」かどうかは医師が認定(治癒認定)しますので、内科的疾患であっても、脳血管疾患の場合などでは治癒認定されることがあります。
その他同様の趣旨で、心臓に人工弁やペースメーカーを装着したとき、人工関節や人工骨頭を挿入置換したとき、腎不全で人工透析を導入してから3ヵ月経過したときも、初診日から1年6月経過する前であれば障害認定日として扱われます。
すでに障害認定日に障害等級に該当していたと思われるのに、その時期に病院に行っていなかったような場合、やむを得ず事後重症請求にせざるを得ないこともあります。
このような場合でも、難かしいことではありますが、医証以外のもので障害の状態を立証できるなら障害認定日請求が不可能とはいえません。診断書が取れないからといって認定日請求を諦めるのは早計です。ただし障害の状態やご年齢の違いによって、立証方法は千差万別です。非常に難しいことですが可能性はゼロではありません。
こんな場合は、是非、障害年金支援ネットワークにご相談ください。
初めて2級の請求は、先発の障害も後発の障害(基準障害)も、当然ですが、それぞれ単独では障害等級3級以下でなければならず、両者を併合して初めて2級に該当する場合に限られます。
この請求方式には、障害認定日請求と違って後発の傷病(基準傷病)の初診日から1年6月経過しなくても請求できる場合があること、併合して2級に該当した時期が65歳未満時であることが立証できれば65歳超であっても請求できること、という特色がありますので、複数の傷病がおありの方は活用したいものです。
(1)受給要件
20歳前ということは、もともと国民年金に加入できない年齢ですから、加入要件と納付要件は必要ありません。必要なのは初診日要件と障害要件だけです。
知的障害(精神遅滞)は、医学的に、18歳までに発病するものとされているため、初診日要件が必要ないのです。
従って、この場合は障害要件だけが唯一の受給要件となります。
またこの疾患は、不可逆性のものとされていますので、請求の時期が遅れても認定日請求が可能とされています。
しかし日本年金機構が全面的に容認しているわけではありませんので、電話でご相談ください。
以上のことは類似の障害、例えばアスペルガー症候群や自閉症にまで広がりつつありますが、発達障害全般に適用されるという保障はまだありません。
(3)障害認定日と受給権発生
障害認定日が20歳到達前のときは20歳で年金を受給する権利(受給権)が発生しますが、障害認定日が20歳以降になる(例えば初診日が19歳など)場合もありますから、20歳前の初診日なら、誰でも20歳になったら障害基礎年金が請求できるとは限りません。
また、20歳になったときや障害認定日に障害の状態でなかった場合は、事後重症請求になります。
(4)受給制限
この年金の場合は、受給者の収入によって年金額が制限されることがあります。従って、裁定請求のときはもちろん、年金受給開始後も、所得証明書(もしくは非課税証明書)の提出が毎年必要になります。
(5)20歳前の厚生年金保険被保険者期間中に初診日があるとき
20歳前初診であっても、初診日当日に厚生年金保険の被保険者であったときは障害厚生年金を受給することになりますので、この障害基礎年金には該当しません。